運営委員長のご挨拶(2007年度)

ヒューマンコミュニケーショングループの特色と今後の方向性

2007年度ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長 行場 次朗(東北大学)

2007年度運営委員長

ヒューマンコミュニケーショングループ (HCG)は,平成7年度の発足以来,今年度で13期目を迎えました.そして,人とコミュニケーションや, 人と情報メディアに関する研究領域を幅広くとりあげ,電子情報通信学会の中にあって,4つのソサイアティとは異なるグループという組織体制を とることにより,常に機動性のある横断的な活動を精力的に展開してきました.

HCGには現在,「ヒューマンコミュニケーション基礎研究会(HCS)」,「ヒューマン情報処理研究会(HIP)」,「マルチメディア・仮想環境基礎研究会(MVE)」, 「福祉情報工学研究会(WIT)」の4つの第一種研究会があり,また,「Webインテリジェンスとインタラクション研究会(WI2)」と昨年度に新しく発足した 「脳情報通信研究会(BCT)」の2つの第二種研究会,そして「ヴァーバル・ノンヴァーバルコミュニケーション研究会(VNV)」と出来立ての「料理メディア研究会 (CM)」 の2つの第三種研究会があります.どの研究会も,情報科学技術フォーラム(FIT)や総合大会などでニュークな特別企画などを積極的に行ってきました.英文論文誌Dで企画されてきたヒューマンコミュニケーション小特集号も3度目になり,2008年6月発行を目指して現在広く投稿を呼びかけています.

HCGの大きな特徴としてあげられるのは,電子情報通信学会とは,一見,フィールドやアプローチを異にする多彩なコミュニティ(心理,脳科学,福祉,芸術関係) との連携が多く,ニューロンに喩えて言えば,細胞体そのものは小さくとも,樹状突起が広く張りだされ,シナプスも多彩な方向に形成されている状態といえましょう.そのお陰で,現在,HCGに登録されている方は1000名近くになりますが,その数は減少することなく維持されております. また,私のような文学研究科に所属するような研究者でも,違和感なくのびのびと活動できる場がHCGの中では醸成されてきました.

このようにHCGの活性化レベルは高いのですが,各ソサイアティが独立採算制に移行する中で,HCGもグループ性を維持するのか, ソサイアティに移行するのかが大きな問題になっています.相澤前委員長のもとで,会員のニーズ,予算面,論文誌等にかかる人的資源などの問題が綿密に議論されました.現在,縦型のソサイアティに対してHCGは横断的なバランスをとっているのに(HCGに参加している方はAソサイアティに23%,Bに16%,Cに7%,Dに54%), ソサイアティ化してHCGが縦型になると種々の軋轢が生じるのではないか,第1種研究会が現状では4つしかないのに論文誌を発行していくのには無理があるのではないかなどの問題が指摘されました.近々,HCGに登録されている方,全員にアンケート調査も実施する予定です.

昨年度のニュースレターで,相澤前委員長は,「かなり異なる背景の人が集まるため,HCGは共通の興味で結びつく"同好会的色彩"が強い. 学会活動の基本に 立ち返るような意味で,HCGのような組織はとても貴重だと思う.」と述べられております. そのような基本的意義は電子情報通信学会の中だけでなく,フィールドやアプローチを異にする多彩なコミュニティからも広く認められていることは,私自身やHCGのユニークな研究会活動に参加されている大勢の方々が同感されていることと思います.今後ともHCG活動へのご参加・ご支援を何とぞよろしくお願いいたします.