<平成26年度 ヒューマンコミュニケーション賞受賞論文>
■HIP 研究会
- 表彰件数:1 件
- 表彰対象期間:2013 年11 月-2014 年9 月
- 審査委員会(敬称略):安藤英由樹・石井雅博・水科晴樹・清河幸子
- 表彰論文
・講演番号:HIP2014-52
・題目:ヒトと魚における周期的視覚刺激に対する予測性眼球運動の獲得
・著者:三木俊太郎・浦瀬康平(中部大)・ロバートベイカー(ニューヨーク大)・平田豊(中部大)
・選定理由:視界全体が同一方向に動いた際それと同方向に眼球を動かす反射運動である視運動性眼球運動について,眼球速度/視界の動き(視覚刺激)速度のゲインは周期的視覚刺激に対して変化する.つまり,視界の安定化のために周期的変化をキャンセルするように予測性眼球運動が行われる.この予測性眼球運動には原始的な小脳神経回路が関与していることから,小脳における運動学習機構を理解する上で意義がある.筆者らはこの特性の評価に種間(人,魚)ならびに個体間(金魚,コイ,ゼブラフィッシュ,メダカ)でどの程度差があるのか明らかにとした,人と魚の比較という点でユニークな研究であることが評価されたうえ,人,金魚,コイのグループとゼブラフィッシュ,メダカのグループに特性が分かれる結果も興味深い.
■HCS 研究会
- 表彰件数:2 件/113 件
- 表彰対象期間:2013 年10 月1 日-2014 年9 月30 日
- 審査委員会(敬称略):渡辺昌洋・黄宏軒・神谷祐樹・松田昌史・田中貴紘
- 表彰論文1
・講演番号:HCS2014-49
・題目:複数人対話での話者交替に関する呼吸動作の分析
~ 次話者と発話開始タイミングの予測モデルの構築に向けて~
・著者:石井亮・大塚和弘・熊野史朗・大和淳司
・選定理由:本研究は,呼吸動作と発話との関連性を調べたもので3
人以上の複数人対話における次話者や発話開始タイミングの推定を試み,有効性を示した.呼吸動作に着目して次話者推定を行うことは新たな試みとして興味深い.映像遅延がある場合の呼吸分析や状態遷移モデルでの予測モデル構築などの研究面での展開や,遠隔コミュニケーションなど様々な応用面での展開も考えられるため,今後のさらなる発展が期待される研究として価値が高い.
- 表彰論文2
・講演番号:HCS2013-126
・題目:容貌と性格特性の組み合わせが人物の魅力評定に与える影響
~知覚者側の要因にも着目して~
・著者:高橋翠
・選定理由:本研究は,人物の顔写真と性格特性の組み合わせが人物の魅力評定に与える影響を調べたものである.多くの先行研究を整理して顔刺激を作成し調査を行っており,交際経験の有無により異性の魅力評定が異なることを示した.研究テーマが明確であり,多くの人が関心を抱くような大変興味深いものであり,交際経験の有無に着眼したことも興味深い.また,調査の計画や結果の分析などが精緻に行われており,研究の質が高い.
■MVE 研究会
- 表彰件数:1 件/73 件
- 表彰対象期間:2013 年10 月-2014 年8 月
- 審査委員会(敬称略):小林稔・亀田能成・杉本麻樹・酒田信親・三上弾
- 表彰論文
・講演番号:MVE2014-11
・題目:アクティブマーカを用いた注視判別システム
・著者:加藤大暁・中澤篤志・西田豊明
・選定理由:本研究は,奥行きが異なったり位置が固定されない対象についても視線が向けられていることを安定して判別可能とすることを目的に,異なるパターンで点滅する赤外線LED
によるアクティブマーカを用いた方法を提案している.今後,対象が多い場合の対応方法や,コミュニケーションの文脈で使用しやすい装置形状の設計などが進めば,実空間で行われる動的な活動の中の視線の動きを効果的に観測する方法として,コミュニケーション分析などに効果を発するものと考えられる.また,このようなアプローチを引き出した課題設定も評価できる.
■WIT 研究会
- 表彰件数:1 件/73 件
- 表彰対象期間:2013 年10 月1 日-2014 年9 月30 日
- 審査委員会(敬称略):布川清彦・酒向慎司・島田茂伸・百瀬桂子・小森智康・細野美奈子
- 表彰論文
・講演番号:WIT2013-90
・題目:力覚誘導の提示条件が空間位置認知に与える影響の評価
・著者:坂井忠裕・半田拓也・清水俊宏
・選定理由:本研究は,視覚障害者支援において重要なデバイスである触覚ディスプレーにおいて,音声では伝えにくいグラフや図などの非言語情報の提示方法として,局所振動提示と力覚誘導提示を複合した方法を提案している.平面に提示される触覚情報と力覚情報の融合という本研究のアイディアは挑戦的なテーマであり,そのアプローチに先見性と優位性を有している.そして実験では,力覚誘導の提示条件によって空間位置の認知に影響を与えるという基礎的なデータを収集した.この結果に基づき,誘導された空間位置と認知された空間位置の誤差を最小にする速度を検出できる可能性を示すなど,その実効性について丁寧な評価を行っている.本研究の成果は,触行動による空間認知のメカニズム研究といった基礎的研究や一般の工学応用にも貢献できると考えられる.問題解決のためのアイディア,基礎的な実験を通して得られた結果および今後の研究の発展性,さらに関連研究分野への本研究結果の応用が期待されることから,HC
賞にふさわしい研究である.
<平成26年度 HCGシンポジウム各賞>
■インタラクティブ賞
◇最優秀インタラクティブ発表賞(2件)
・装着型表情識別インタフェースと表情表出の拡張への応用
高野 裕士(筑波大)・鈴木 健嗣(筑波大学/JST)
・スケッチ入力を用いた漫画画像検索
松井 勇佑・相澤 清晴・Yushi Jing(東大)
◇優秀インタラクティブ発表賞(4件)
・「なにか話して...」:多人数会話の流れを媒介する発話介在ロボットのデザインの検討
大島 直樹・渡邊 竜弥・齋藤 夏生・藤森 亮・徳永 弘子・武川 直樹(東京電機大)
・馬名の文字数は馬券購入行動に影響を与える ~名前の情報量に基づく分析~
本田 秀仁(東大)・和嶋 雄一郎(阪大)・松香 敏彦(千葉大)・植田 一博(東大)
・シニアのICTサービスに対する興味を喚起する提示法の検討
和合 加愛・濱口 菜々・大野 健彦(NTT)
・ポスター自動発表システムの実現に向けた視線分布に基つ?くポスター対話の話題推定
吉本 廣雅・中村 裕一(京大)
◇学生優秀インタラクティブ発表賞(8件)
・衣服上への安定した映像投影を可能にするプロジェクションシステム
杉尾 天瞭・岩井 将行(東京電機大)
・擬人化エージェントを用いた議論の雰囲気を実現する人狼対戦システムの開発
小林 優(東京工芸大)・大澤 博隆(筑波大)・稲葉 通将(広島市大)・篠田 考祐(電気通信大)・ 鳥海 不二夫(東大)・松原 仁(公立はこた?て未来大)・片上 大輔(東京工芸大)
・韻律情報の記述に基づく装着型発話支援システムの開発
梶原 裕太郎・鈴木 健嗣(筑波大)
・副作用症状の記載方法が消費者の医薬品購買意思に及ぼす影響
星野 智子・木村 敦・武川 直樹(東京電機大)
・複数のディスコミュニケーションロボットが作り出す新しいコミュニケーション空間
菅原 龍光・片上 大輔(東京工芸大)
・ワンスイッチを利用した市販ゲーム機の操作機器開発および操作方法の検討
岡部 星樹・伊藤 史人・縄手 雅彦(島根大)
・リズム感の能力差に関わる脳活動
枝川 広輝・川崎 真弘(筑波大)
・Kinectを用いた手話認識における特徴量の検討
古谷 佳大・堀内 靖雄・川本 一彦(千葉大)・下元 正義・眞崎 浩一(みずほ情報総研)・ 黒岩 眞吾(千葉大)・鈴木 広一(みずほ情報総研)
■オーガナイズドセッション賞
◇オーガナイズドセッションI「コミック工学」
・マンガ制作プロセスにおける制作物の有効利用と分析を目的とした制作資料リポジトリ
萩原 彰・三原 鉄也・永森 光晴・杉本 重雄(筑波大)
・マンガ画像解析に関する取り組み
石井 大祐・柳澤 秀彰(早大)・三原 鉄也(筑波大)・渡辺 裕(早大)
◇オーガナイズドセッションII「ヒューマンセンタードデザインの理論と実践」
・ユーザ中心の情報セキュリティ教育を考える ~Business Origamiによるワークショップの効果~
新川 涼子(沖縄女子短大)・原田 悦子(筑波大)・丸山 幸伸(日立製作所)・ 田中 伸之輔(筑波大院)
◇オーガナイズドセッションIII「雰囲気工学」
・韻律情報の記述に基づく装着型発話支援システムの開発
梶原 裕太郎・鈴木 健嗣(筑波大)
・ロボットの目の発光による感情表出が人の発話内容理解へ及ほす影響
勅使 宏武・寺田 和憲・伊藤 昭(岐阜大)
・「なにか話して...」:多人数会話の流れを媒介する発話介在ロボットのデザインの検討
大島 直樹・渡邊 竜弥・齋藤 夏生・藤森 亮・徳永 弘子・武川 直樹(東京電機大)
◇オーガナイズドセッションIV「G空間コンピューティング:センシングからコミュニケーションまで」
・気仙沼横丁の「今」を疑似体験できる3Dアプリの提案 ~ソーシャルメディアの投稿記事との連携~
山下 諒・上間 大生(関西大)・一刈 良介・蔵田 武志(産総研)