運営委員長のご挨拶
2018年度ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長 新井田 統(KDDI総合研究所)
2018年度のヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)運営委員長を務めることになりました,KDDI総合研究所の新井田統です.私は工学分野で研究者としてのスタートを切り,現在は社会科学や人文科学のアプローチを取り込んで学際的な研究を行っています.このため,電子情報通信学会において他分野との連携を主導するHCGへ運営委員長として貢献できることは,大変に光栄かつ嬉しく思っています.
閉塞する日本経済の変革に向けてイノベーションが強く求められる昨今ですが,HCGの特徴である学際的な研究の推進は,イノベーションを起こす上で重要な役割を果たすと考えられています.新たな価値を社会に提供するプロセスにおいては,技術的な課題の解決だけでなく,人々の心理や行動の側面を考慮した課題設定が求められるためです.こうした活動は世界中で増えており,例えば2015年の国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable
Development Goals:持続可能な開発目標)では,「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」といった,技術だけで解決することは困難な目標が定められ,これらの目標に対して活動が進められています.今後もこうした活動が活発になってゆくことは間違いないでしょう.
こうした社会の変化の中で,HCGもこれまで同様に学際研究の発表・議論の場を提供すると共に,学際研究を推進する人材の育成を支援する場として機能することがより強く求められていると考えています.また,研究成果を実践に繋ぐ企業とアカデミアの連携を志向した活動も必要になってくるのではないでしょうか.
このため,運営委員長として今年度は3つの活動を進めることを考えています.一つ目は,HCGのコミュニティとして研究の成果を積み重ねてゆく方向性を明確化することです.これは,2016度から開始した常設編集委員会の活動を更に推進してゆくことで実現します.二つ目は,分野間での研究手法に関する相互理解を推進するための場を設けることです.昨年度に引き続き,シンポジウムなどで関連分野の研究手法に関する講演会を企画します.三つめは産学官連携の促進です.研究会やシンポジウムで,実践事例の報告を奨励します.
多くの研究者の皆さまにとって,HCGが研究推進に役立つ場となるよう,運営委員会のメンバーと協力して活動を行っていきたいと考えています.皆さまも是非ご協力の程よろしくお願いします.