今すべきことと向かい合い実行するコミュニティを目指して
2016年度ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長 竹内 勇剛(静岡大学)
運営委員長の任期の1年間で実質的にできることはとても限られています.そこで私は,今,ヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)にとって必要なこと,もう少し踏み込んで言えば,ヒューマンコミュニケーションに関連する研究者にとって今必要なことの中で,優先的に取り組むべき課題が何かを考えました.その1つが,HCGが毎年1回企画している論文特集号「ヒューマンコミュニケーション」(隔年で和文論文誌AとDにて実施)および「HCGシンポジウム」を通した,国内のヒューマンコミュニケーション関連研究者の集結と情報共有の拠点化,および人材育成です.
現在,この課題に対する取り組みの体制を整えつつありまず.1つ例を挙げますと,本年度内にはまずは論文特集号のための編集委員会の常設化を推し進め,HCG傘下の研究専門委員会の構成員だけでなく国内の他学会の方々も含む多くのヒューマンコミュニケーション関連研究者にも編集委員および査読委員とした,継続性・連続性をもった参画の枠組み作りに取り組んでいます.この取り組みを通して,近い将来にヒューマンコミュニケーション関連研究が学術的文化を共有し,自分たちの研究を多くの関連研究者に知らしめ,全国のヒューマンコミュニケーション関連研究者の力を結集できるコミュニティ作りに寄与できるのではと大いに期待しています.このことは,HCGだけでなく全国的に多くの研究者が抱えている課題の1つになっているのではと思います.HCGではまずはこの課題に対して,研究の根幹である論文のあり方からその解決を図っていきたいと考えています.
もう1つ取り組みたいことは,特に若い研究者の芽を伸ばす(潰さない)環境の構築です.学会活動や研究会の開催などの多くの運営業務が,事実上若い研究者の力と時間を借りて成り立っています.しかしそれらが若い研究者にとって面倒な「雑用」となってしまうのは,その研究コミュニティにとっても本人にとっても大きな損失です.逆に,そういう業務が若い研究者にとって「やってみたかったことを実現する場」「実績を積む好機」「将来に繋がる人脈作りの場」など,本人にとって意欲的に取り組めるポジティブなものであればそれは誰にとっても幸福なものになります.そこでこの考え方に基づいて,まずはHCGが毎年主催しているHCGシンポジウムの企画・運営体制および業務内容を一度きちんと精査し,このシンポジウムの企画・運営が若い研究者にとって身近なところから芽を伸ばせる環境に値する場となっているかを見直す必要があると考えています.
このような取り組みを健全にかつ多くの研究者にとって望ましい形に近づけていくためには,みなさま1人ひとりのご意見やアイディアを謙虚に受け止め,より良いものへとブラッシュアップしていくための資源としていかなくてはなりません.ですからさまざまな課題に対するお気づきの点やお考え,ご提案がございましたら私を始めHCG運営委員会のメンバーにお寄せいただき,共に議論してまいりましょう.