委員長のご挨拶

2024年度ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長 伊藤 京子(京都橘大学)

 

 2024年度電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)運営委員長を務めます、京都橘大学工学部情報工学科の伊藤京子です。学生時代の卒業研究で京都大学のヒューマンインタフェースの研究室に入り、学位取得後に助手として着任した大阪大学のヒューマンインタフェースの研究室で、ヒューマンコミュニケーション基礎(HCS)研究会の幹事補佐として声をかけて頂きました。その後、同大学のコミュニケーションデザイン・センターという新しい組織に所属するとともに、主にHCS研究会に参加してきました。人と人とのコミュニケーションを支援する機能のコンピュータを用いた方法を考えるとともに、人と人とのコミュニケーションとは一体何なのか、何をどのようにすることが求められるのかを考える機会を頂きました。

 

 2023年は、未来から見るとコミュニケーションにおいて1つの転機となる年だったかもしれません。みなさまもご存じの通り、ChatGPTをはじめとする生成AIによるチャットツールの登場とその普及です。以前からスマートスピーカ等の会話型インタフェースが存在しましたが、生成AIはこれまでの技術とは大きく異なり、より自然な会話を実現することを可能としています。これらのLLMによる生成AIは、現在、主にチャットの形式で利用されていますが、その利用用途は日々拡大しています。近い将来、さらに多くの私たちの生活シーンに深く浸透してくるかもしれません。

 

 私たちは既に、人と人とのコミュニケーションにおいてチャットツールやメールが身近に利用される世界に生きています。そこに生成AIが登場したことで、相手となる人間が実際に自分で書いているのか、それともAIが生成したメッセージなのか、判断することが難しくなりました。生成AIがヒューマンコミュニケーションをより豊かなものにするのか、それともよくない方向に進めるのか、それは私たちがそれをどのように利活用するのかにかかっています。

 

 今、私たちはその始まりの地点にいます。このタイミングで私たちヒューマンコミュニケーショングループの活動が、ヒューマンコミュニケーションの未来を切り開く一助となることを確信しています。そのためには、これまでに出会わなかった新たな課題に対して、私たちがともに議論を深め、新たな視点を得て、未来を提案していくことが必要です。

 

 そのために、みなさまにさらにHCGをご活用頂きたいと考えています。各研究会や毎年12月に開催されるHCGシンポジウム(今年は金沢です)、またHCGのニューズレターへのご登録(電子情報通信学会の会員であれば無料です!)、そしてお近くにおられるHCGにご興味をもってくださりそうな方々にお声がけ頂き、ご参加いただくことで、HCGはさらに魅力的な、さらに価値あるコミュニティになると考えます。

 

 どうぞお願いいたします。